京大SPH、入学後のQ&A

 京大SPHに入学して分かったことで、入学前から気になることが多いだろうなと考えられる質問を載せています。

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Q. 文系でもついていけてますか?

A. 正直、授業についていくという意味では「文系だから」と感じることはほぼないです。
一度授業で「ノックス」という言葉を他の学生の方々が使っていて、終了後に「NOx(窒素酸化物)」だと気づくという事件はありましたが、少なくとも「文系だから大変!」みたいなことは普段は感じないです。

ただ、文系理系、医療系など、出身に関わらず、「SPHで何をやるか」は入学前から明確にしておいた方がいいと思います。

入学して1学期目は様々な分野の授業があるので、「自分が関わりたいフィールドの目線」を持っておかないと、消化試合で終わってしまう恐れがありそうです。

Q. 人文・社会科学的な研究もできますか?

A. 法・経済以外の文系的な研究は課題研究(修論)としては難しいと思っていた方がいいです。
法制度、政策、経済はパブリックヘルスの分野でも割と認められやすいですが、たとえば社会学のような研究は評価できる教員がほぼいないこともあり、難しいと思います。

実際に僕は当初、メディア論的な研究を考えていたのですが、「公衆衛生上の意義が不明確」という教員の指摘もあり、いろいろとデザインし直しました。

それ以降、「どこからどこまでが公衆衛生なの?」という疑問を僕はずっと抱いていますが、そうした疑問は特に人文・社会科学出身の人はいずれ向き合うことになると思います。

Q. 統計の授業って難しくないですか?

A. 必修の授業なら「わけわからん!」とはならないです。
たとえばいきなり「95%信頼区間」とか、「係数」の話が出てくるわけではなく、基本的には医療統計・疫学の基礎的な部分を取り扱っているので、統計に苦手意識があってもビビらなくて大丈夫です。

とはいえ、自分なりに勉強しておくことは大事ですし、必修ではない実習の方の授業は大変だと聞くので、自分の研究にどれくらい統計が関わるかも考慮しながら、入学前から少しずつ学習を進めたら良いと思います。

Q. 研究室ごとの交流はありますか?

A. 分野によりますが、僕がM1の時はほぼオンライン授業ということもあり、自分から動かないとあまりなかったです。
一応、入学時に交流会はありましたが、オンラインだったこともあり、ちゃんとお話できるような感じではなかったです。

そのため、Twitterなどであらかじめ他の分野(志望)の人と繋がっておくことは、京大SPHにおいてはかなり意義があると思います。

※2022年時点でのM1は対面授業が再開しているので、比較的交流も多いみたいです。

Q. オンライン授業はどうですか?

A. 意外と快適です。
コロナ禍で2020年にオンライン授業が広まり、SPHの先生方も「2021年度になってようやく慣れてきた」というようなことを仰っていて、実際に授業はかなりスムーズに行われています。

家が大好き人間の僕はむしろこの形式がありがたいです…。

ただ、授業形態には「対面」、「オンライン」、「ハイブリッド」があるのですが、ハイブリッドが具体的にどのような形式なのか等のアナウンスが不十分だったので、戸惑いました。

入学後にオンライン授業について不明点があれば、積極的に担当教員にメールで尋ねましょう!

※2022年度は対面授業が増えてきています。

Q. そもそも他の大学院と違うんですか?

A. とりあえず、一般的な大学院のように「研究は大事」と思っていた方がいいです。
他のSPHや他分野の大学院に在籍したことがないので、断言はできませんが、いわゆる「大学院=研究」のイメージと京大SPHは合致していると思います。

専門職大学院と聞くと、「知識・技能を身につける場」と思いやすいですが、京大SPHに関しては教育の質の担保という意味での「専門職大学院」なのかなと(第三者機関の認証が必要なため)。

つまり、基本的には「研究」という一般的な大学院のイメージと変わらないです。

何かの技能を習得するというより、学びを活かして課題研究(修論に相当)を仕上げましょう、という雰囲気なので、やはり「SPHに入っていろいろ学びたい!」より、「SPHで○○をしたい!」が明確な方が安心だと思います。

ちなみに入試の時の研究テーマは入学後に修正したり、ガラッと変わることも珍しくないようなので、まずは入試時点の最大限の力で研究をデザインしてみてください。

Q. 時間割は結構埋まっていますか?

A. 実際の僕の1年次前期の時間割が下記のようになっています。




※授業名はわかりやすいように適宜変更しています。

京大SPHは、前期・後期という区分がさらに「前半・後半」に分かれています。

また、「集中講義」という区分もあり、やや不規則な時間割になります。

必修はすべて前期に集中しているので、前期の時間割は結構ハードです(ただし、僕は詰め込むと消耗しがちなので、これでもかなり抑えている方だと思います…)。

特に、非医療系出身者の場合、医学基礎の授業を前期・後期で取る必要があり、僕の場合は前期前半の水曜日「解剖学」がそれに相当します。

前期前半に関しては、平日は毎日埋まると思っておきましょう。

卒業に必要な単位は2年制MPHでは30単位、そのうち4単位が課題研究(修論)なので、「これだとすぐに単位要件を満たすのでは?」と思われるかもしれませんが、必修の授業は「1授業1単位」の場合も多いです。

僕の時間割上では、前期前半、あるいは後半のどちらかのみの授業は1単位、前期通して行われる授業は2単位の傾向にあります。たとえば、前半・後半どちらにもある「社会疫学」の授業は2単位です。

また、前期前半と後半で授業の名前は違うけど、実際には同じ教員が担当するというパターンも多く、「文献検索・評価法」や「医学コミュニケーション学・医療社会学」がその例です。

この時間割にはありませんが、通年の授業も取っています。通年の授業は前期に登録しないといけない、という点には入学後に特に注意です。

ちなみに、僕が取っている必修(選択必修含む)の授業は下記の通りです。

▼必修(選択必修)授業
・疫学(前期前半、正確にはⅠとⅡの2つ)
・医療統計(前期)
・感染症疫学(前期後半)
・健康政策(前期)
・社会疫学(前期)
・医学コミュニケーション学(前期前半)