京大SPH全成績&授業の感想(専門職学位課程)



SPHに入学してから初めての学期の成績が発表されました。

放送大学にいた時から成績を公開していたので、引き続き京大SPHの成績も書いていこうと思います。

※追記(2023/04/13)
合計単位数と「臨床医学概論」を更新しました。

京大SPHの成績評価

京大SPHの成績はD以上が合格(多分)、最高はA+です。

<参考サイト>

※追記(9/25)
上記リンクは主に学部の成績評価についてのサイトで、大学院は同じ京大でも評価方法が研究科によって異なることがあるようです。

難易度評価について

「内容」は授業全体の中身の難易度、「単位」は単位の取りやすさの難易度を示しています。ざっくり星1つ~5つです。

あくまでも僕の体感ですが、下記のような人は同じように感じるかもしれません。

①質的研究をメインで考えている
②文系出身
③統計は苦手意識あり
④授業は最小限に集中したい

僕のときは前期は基本オンライン、後期は一部オンラインで、ハイブリッドもあり、という感じだったので、これから入学される方の環境では難易度が変動する可能性にもご注意ください。

取得した単位数の合計

僕は授業に対しては消極的な方だったので、課題研究と合わせて30単位ぴったりで修了しました。

必修科目の成績(前期)

・医療統計学 (コア) B
内容★★★★☆
単位★★★☆☆

内容は個人的には難しかったですが、数字ばっかりの統計ではなく、医療統計の背後にある考え方を学べるので、興味深く聴けました。

体調不良で数回欠席しましたが、なんとか単位を取れました。最終レポート課題は結構ハードでしたが、評価は優しすぎず厳しすぎずな感じだと思います。

・感染症疫学 A+
内容★★★☆☆
単位★★★☆☆

僕が履修したときは、出席点と最後のテストのみでの評価でした。

恐らくSPHに入学する方は、COVID-19で感染症に少なからず興味を持っていると思うので、楽しめると思います。

ただ、テスト勉強をしないといけないので、他の科目との兼ね合いには気をつけた方がいいと思います。

・医学コミュニケーション・基礎 A
内容★★★☆☆
単位★★☆☆☆

僕は放送大学で異文化コミュニケーションのカリキュラムを履修していたので、知っている内容が多かったです。

先生が社会科学系出身なので、医療系の学生の方が難しく感じる授業かもしれません。

評価は易しめだと思います。

・疫学 I (疫学入門) A+
内容★★★☆☆
単位★☆☆☆☆

疫学の考え方を学ぶ授業で、パブリックヘルスの根幹を成す内容ということもあって、入試時点で知っていた内容もちらほらありました。

最後に巨大レポートが出され、泡吹きそうでしたが、評価は個人的には易しめだと感じました。

・疫学 II (研究デザイン) A
内容★★★☆☆
単位★☆☆☆☆

疫学Ⅰとセットなので、同じような評価になることが多いと思います。
ただ、課題はこちらの方が易しめでした。

・社会健康医学と健康政策 A
内容★★☆☆☆
単位★☆☆☆☆

できれば取っておきたい授業です。

京大SPHのほぼ全ての研究室の先生がリレー形式で授業を行うので、SPHの概観を理解するのに役立つと思います。

毎回の提出物(出席確認の代わり)が少し大変ですが、単位自体は取りやすいと思います。

・社会疫学 A
内容★★★☆☆
単位★★☆☆☆

量的アプローチの話が中心ですが、社会疫学の根本の考え方も学べる授業で、SES(socioeconomic status)と健康の関連に興味がある方におすすめです。

最後のレポートがちょっと難しかったですが、やりがいのある授業だと思います。

僕のときは先生のハイブリッド授業の機材トラブルが多く、学生からもそういった評価があったようです。

入学される方は先輩からそうした意見も聞くかもしれませんが、実は後期に先生が機材を一新していて、ハイブリッド授業の質がかなり高まっていたので、新入生はそうした心配はいらないと思います。

選択科目(前期) 

・文献検索法 C
内容★★★★☆
単位★★★☆☆

授業内容自体は易しめですが、課題は「PICO・PECO」を考えるものだったので、質的研究を考えている方、あるいはPICO・PECOに当てはまらない研究を考えている方にとっては手強いかもしれません。

・文献評価法 A+
内容★★★★☆
単位★☆☆☆☆

入試の時に「ナントカ・バイアス」を皆さんたくさん学んだと思いますが、実際の、あるいは架空の研究の例を見ながら、手と頭を動かしてエビデンスを評価する授業です。

そのため、ちょっと実習に近い雰囲気もあり、負担は大きいですが、評価は易しめだと感じました。

・医療社会学・基礎 A
内容★★★☆☆
単位★★★☆☆

「医療・医学」というものを外側から考察してみたい、という思いがある方にぴったりな授業だと思います。

「医学コミュニケーション学・基礎」よりも最終レポートがちょっとハードです。

・医学基礎 I 「解剖学」 A+
内容★★★★☆
単位★☆☆☆☆

非医療系の学生は取らないといけない医学基礎の授業の一つです(生理学などから選択)。

他の専攻(看護?)の人たちと同じ授業でしたが、他の専攻ではテストがあったのに対し、SPHの学生はレポートだけでした。

「全部覚えよう!」と思ったらしんどくなるので、「こういう風に医療者は考えているんだな~」という視点で受講したらいいと思います。

・質的研究入門 A
内容★★★★☆
単位★★★☆☆

質的研究に興味がある方や、どんな研究にしたいか迷っている方におすすめです。

質的研究は「理論+方法」が必ずセットになっていて、この授業でも「理論」の部分はどうしても難しく感じると思います。

この授業で質的研究を知り尽くすというより、質的研究について学ぶきっかけにしたらいいと思います。

レポートは数回に分けて提出が必要なので、その負担はやや大きめでした。

選択科目(後期)

・医学基礎 II A+
内容★★★☆☆
単位★★☆☆☆

非医療系出身者は必修の授業です。

複数人の先生が担当していましたが、とても丁寧な授業でした。

レポートは2回あり、2回目の方は結構ヘビーでしたが、評価は標準的かちょっと易しめだと思います。

・臨床医学概論 B
内容 評価なし
単位★★★☆☆

非医療系出身者は必修の授業ですが、教員の過激な発言がとにかく多く、聞いているのが苦痛な授業でした。

そのため、課題にもあまり打ち込めませんでした。

そもそもSPHの先生ではありませんが、SPHの中では悪い意味で特殊な授業だと考えた方がいいです。

※追記(2023/4/13)
よっぽど評判が悪かったのか、2023年度のシラバスでは教員が刷新されていました。

・環境・感染症論 A+
内容★★★☆☆
単位★★★☆☆

授業が英語を交えながら行われることもあり、ほとんどの受講生は留学生です。

最後のプレゼン課題も英語なので、英語が苦手な方は要検討な授業ですが、内容自体は環境保健・感染症を広く扱うので、とても面白かったです。

英語を使う点が問題なければ、かなりおすすめ。

とりあえず一回目に出てみて、履修調整期間に取るかどうか考えるのもいいと思います!

・地域保健活動論 A
内容★★★★☆
単位★★★☆☆

基本的に実習型の授業で、グループワーク中心です。

そのため、発表や発言の機会が多めで、課題の負担も大きいです。

内容自体は「社会疫学の考え方を地域保健に活かしたらどうなるか?」といった感じで、地域保健のみならず、社会疫学に興味がある方、前期で先生の授業を取って面白いと感じた方におすすめです。

・質的研究・演習 A+
内容★★★★☆
単位★★★☆☆

SPHでは質的研究の授業がかなり少ないので、質的研究をやる可能性が少しでもあれば取っておいた方がいいと思います。

演習ということもあり、負担は大きめですが、実際に質的研究の分析を体験できる貴重な機会です。

僕のときはインタビューによるデータ収集の実習もあり、とても楽しめました。

最終課題よりも、普段の課題の方が大変なのと、後期は実習・演習型の授業が多いので、オーバーワークにならないようには気をつけた方がいいです。

2年目

・課題研究 A
内容 ?
単位 ?

修論に相当する研究の評価です。

優秀賞を受賞できましたが、それでも最高評価ではないので、基本的にA+は難しいかもしれませんね。

本人の努力に加え、研究のフィールドとの相性や発表会でどの教員が当たるかなどの運要素も強めな気がします。

全体の感想

この成績で、2年目に給付の奨学金を獲得できました。

ただ、院生の給付奨学金は学会発表などの研究実績重視のもあるので(僕がいただいたところがそうでした)、奨学金狙いの場合は成績に加えて学会発表も重視した方がいいです。