京大SPHで卒業に必要な最低限の授業を取った一年【時間割&授業の感想】

 

後期最後の授業が終わりました。

これで修論以外の必要な単位分の授業は終えて、来年度は研究中心になるので、SPHでの授業の履修は一応、完了したことになります(本記事執筆時点で成績はまだ)。

そんなわけで、僕の一年間の時間割について書きます。これから入学する方、受験を考えている方が学生生活をイメージできるといいな(^^)

履修スタイル

京大SPHでは、各学期が前半と後半に分かれています。

単位は一概には言えませんが、下記のような感じになっています。

  • 1単位の授業
    前半あるいは後半にのみ開講されている一コマの授業

  • 2単位の授業
    前半・後半にまたがって開講されている、あるいは、前半(後半)のみであっても、2コマ連続になっている授業

前期は全てオンラインで履修していました。

後期はハイブリッド(オンラインでも対面でも可)の授業もありましたが、1月は僕が取っていた授業はオンラインのみでした。

ちなみに僕は既にヒビの入った豆腐メンタルなので、崩壊して(大学時代のように)中退しないように、卒業に必要最低限の授業しか取りませんでした。

時間割




以下、授業の感想です。

コロナ禍で授業形態が不安定なので、来年度以降も同じような授業になるとは言えない点には注意してください。

また、僕は文系出身で、SPHに入るまで医学にも福祉にも関わったことがなかったので、その観点からの感想です。

社会疫学

健康の社会的決定要因(SDH:Social Determinants of Helath)についての授業でした。
SDHの考え方自体が僕にとっては新鮮だったので、とても楽しく受講できました。

ハイブリッド授業の時はパソコントラブルも多かったですが、同じ先生の後期の授業では機材がアップデートされていて、かなり快適になっていたので、来年度以降は心配いらないと思います。

文献検索法・評価法

一応、それぞれ別の授業で1単位ずつですが、事実上セットだと思います。

検索法はPubMedなどのデータベースの基礎的な使い方を学び、評価法では実際のエビデンスを個人あるいはグループワークで評価していきます。授業は全てオンラインでした。

検索法については僕は医学系の文献の調べ方を全く知らなかったので、とても貴重でしたが、人によっては基礎的過ぎると感じられるかもしれません。

評価法の最終レポートは簡単でしたが、検索法で「PECO・PICO」を考えるのは、特に非医療系の人にとっては難しいかもしれません…。

医療統計

統計といっても「計算式いっぱい!」みたいな感じではなく、「考え方」についての講義が中心でした。

オンラインで事前に授業動画を見て、1時間くらいの質問&ディスカッションに参加するという流れでした。

大学院生活を張り切りすぎて調子を崩してしまい、2回か3回授業をスキップしてしまっていたのですが、先生から連絡が来て何とか復帰できました(感謝…)。

最終レポートもとても勉強になるお題ばかりで、大変だったけど、実りも多い授業でした。

医学コミュニケーション学・医療社会学

こちらも別の授業ですが、前者は選択必修、後者は選択の授業です。

医療社会学を取るなら、前者も取っておいた方がわかりやすいと思います。

僕の研究室の先生の授業であることと、僕自身、学部のときに異文化コミュニケーション専攻だったので、とても楽しめました。

ヘルスコミュニケーションが「コミュニケーション学を医療の中でどう活かすか?」と考えるとしたら、京大SPHの医学コミュニケーション学や医療社会学は、「コミュニケーション学や社会学の視点から『医学』を考えたらどうか?」という視点が特徴的です。

つまり、どちらかというと「医学」を外側から考察するようなイメージです。そういった視点に興味のある人におすすめです。

医学基礎「解剖学」

非医療系出身者は必修の授業ですが、他にも生理学など3つくらいあり、そのうちの一つを選べばいいので、僕は解剖学にしました。

最初は身構えていましたが、先生が話すのがとても上手な人で、楽しめました。

看護?の人たちと共通の授業で、そっちはテストがあったみたいですが、SPHの学生はレポートだけでした。

健康政策

京大SPHのいろんな(ほぼ全て?)の研究室の先生がリレー式で講義を行います。そのため、内容はかなり盛りだくさんです。

毎回の小レポート(兼出席確認)と最終レポートで評価されますが、浅く広くな感じなので、難易度は高くないと思います。

SPHの先生方の研究や雰囲気を一通り知ることができるので、おすすめです。

疫学

ⅠとⅡがあります。

片方は最後に巨大なレポートが課せられるので、新入生は覚悟してください(恐)

内容は医療統計とも近く、基本的には「考え方」に関する授業です。

必修ですし、公衆衛生の要ともなるので、難易度はそれなりにあるけど集中しやすいと思います。

質的研究入門

「入門」の名の通り、質的研究について広く学ぶ授業です。

そのため、実際の手順までイメージすることはあまりできませんが、そちらは演習の授業で体感したらいいと思います。

ただし、入門と演習を担当する先生は僕の年度では異なっており、あまり接続した内容ではなかったです。

SPHで質的研究に触れられる授業はかなり少ないので、少しでも興味があるなら必須です。

感染症疫学

「基本再生産数」など、COVID-19の理解にも役立つ授業でした。

「感染症学」ではないので、病原体の仕組みなどの話ではなく、基本的には人間・社会の中における感染症についての話が中心です。

数式が出てくることもありますが、先生がとてもわかりやすい授業を展開してくれたので、抵抗感はなかったです。

ただし、評価は出席とテスト一発だったので、その点だけ注意です。

環境・感染症論

その名の通り、環境と健康、感染症に関する授業で、動物保健などについても触れられます。

授業は英語を交えて行われるため、留学生が多いのが特徴。

評価対象は感染症あるいは自身の研究に関するプレゼンで、少なくとも今年度は原則英語でした。

留学生が多く、質疑応答も基本は英語なので、授業内容に興味はあっても、英語が苦手な方はしんどいかもしれません。

ただ、内容はとても面白いので、とりあえず取ってみて、履修調整期間に検討してもいいと思います。

質的研究演習

僕の研究室の先生が担当する授業で、実際にいくつかの質的研究を手を動かしてやってみるのが特徴です。

僕自身、質的研究をやっていく予定なので、とても集中できたし、後期で一番力を入れられた授業でした。

ただ、課題が多いので、「とりあえず…」という気持ちだとハードに感じられるかもしれません。

いままでは後期の授業だったそうですが、今年度は夏休みから開始の通年の授業でした。通年の授業は前期に履修登録をする必要があるため、次年度以降も同様であれば、履修する方は前期での登録を忘れないように注意してください。

臨床医学概論

非医療系出身者は必修の授業です。

教員の過激な主張が目立ち、個人的には不快な授業でしたので、多くは語らないことにします。

医学基礎Ⅱ

臨床医学概論に対して、基礎医学をわかりやすく取り扱うとてもクオリティの高い授業でした。

最終レポートで死について考える機会があり、真正面から考えるのは避けてきたテーマだったので、課題に取り組むのもとても充実した時間でした。

臨床医学概論はいいので、こちらに一本化してほしい…笑

地域保健活動論

前期の社会疫学と同じ先生で、社会疫学の観点を地域保健にどう活かすか、グループワークを通して学んでいく形式でした。

「地域」だけでなく、あらゆる規模の集団・社会において「健康」を考えるにあたって役立つ内容なので、社会疫学に興味がある方にはおすすめです。

僕は今の研究室じゃなかったら社会疫学の方に行ってたと思うくらい、勝手に隣接分野と思ってるので、社会疫学研究室の人は仲良くしてください…笑

全体の感想&今後入学される皆さんへ

前期はとにかく授業が多くて、しかも初めての分野ということもあってか、必死過ぎたのであんまり記憶がないです。

もっと授業を取っている人も多そうですが、僕はとにかく最低限の授業をこなせるように心がけていました。それで正解だったなと思います。

新入生には、特に下記のことに気を付けてほしいなと思います。

授業はメリハリをつけ、「きっかけ」に!

全部の授業に熱意を持って取り組まなくてもいいと思います。

自分自身の研究や関心に役立つ授業は集中できますし、そうでないものは右から左に抜けていくこともあります。

特にオンライン授業では、僕はその傾向が顕著になりやすかったです。それは自然なこととも思うので、皆さんも「難しい」とか「集中できない」と感じる授業があって大丈夫です。

個人的におすすめなのは、授業で何かを学ぶのではなく、授業を学び始めるきかっけにすることです。

たとえば、僕は質的研究の授業で出てきた研究法で面白そうと思ったものをその都度、本を買って勉強しました。

SPHで学ぶ内容は大変高度で、授業だけだと「うまく理解できてない」と感じたり、あるいは「先生が十分に教えてくれない」と感じたりすることがあるかもしれません。

それよりも、授業を「入口」と捉え、そこをきっかけに自習するスタイルが気持ちも楽だし、何より楽しくなると思います。

本記事が新入生や受験を考えている方の参考になれば幸いです(^^)/