京大SPHとおカネの話


以前から京大SPHでやっていく際のお金の話を書こうと思っていました。

そして、民間の給付型奨学金の採用通知を無事に受けたので、これを機に京大SPHを経済面から語ってみようと思います。

絶対にこの記事のようなお金の動きになるわけではありませんが、これから入られる方は「なるほど~」、在籍生は「わかる…」と思いながら読んでいただければと思います。

もしかしたら人によっては厳しい内容に思われる点もあるかもしれません…笑

必要なお金

京大SPHに入ると絶対に必要なお金をまとめると…

・入学金
・授業料

この2つは確実に必要ですが、減免制度もあります。

その他、生活費を除いて必要となる可能性の高いお金は、

・学会の会費
・学術集会の参加費、交通・宿泊費
・書籍代

の3つです。

学会が毎年開く学術集会の参加費は会費と別なので、気をつけてください。ハイブリッド開催の場合は、オンライン参加で交通・宿泊費は節約できるかも。

書籍代は地味にかさみます。というか、僕の学生生活を圧迫してきたのは書籍代…。

京大SPH、というかパブリックヘルスの文献、特に質的研究に関するものは「英語しかない!」という場合が多く、洋書は大体5,000円以上するので、2、3冊買うとあっという間に1万超えます。

課題で単発的に使うなら図書館で借りるのもアリですが、研究で使う書籍ならやはり手元に置いておきたいので、それなりにお金がかかると思った方がいいです。

学費免除について

京大SPHのオープンキャンパスでも学費減免の話がありましたが、ちょっと誤解を与える表現かなと思ったところがありました。

京大SPHで受けられる学費の減免は、SPH独自の制度ではなく、京大全体で実施しているものです。

<参考リンク>
「授業料の免除/入学料の免除と徴収猶予」京都大学(アクセス日2022/8/18)

国公立大では大体似たような制度がどこにもあると思います。

成績や家計の基準は明確には示されていません。そのため、本記事でも基準に関しては憶測しか書けないので、控えておきます。

また、京大SPH入学希望の方は社会人も多いと思いますが、「独立生計」として認められるにはいろいろ条件があるので、あらかじめチェックしてみてください。

学部と大学院で異なるのは、大学院では入学料も経済的事情で減免の対象になるということです。

僕は仕事はしてましたが収入が少なかったので、入学料は半額になりました。また、その後、本記事の執筆時期であるM2の前期まで授業料は全額免除になっています。

ただし、もちろん申請したからといって全員認められるわけではないので、ご注意ください。

学生支援機構は貸与型

学生支援機構の奨学金は第一種と二種があり、二種は基準が緩めですが、いずれも貸与型なので、いずれ返す必要があります。

第一種に関しては、実績に応じた返還減免制度があります。

京大の医学研究科に関しては、2021年度時点では減免の評価対象として成績などは考慮されず、基本的に研究実績一本での勝負となるので、ご注意ください。

<参考リンク>
「【日本学生支援機構奨学金】【〆切:2022/2/2】令和3年度大学院 第一種奨学金「特に優れた業績による返還免除」申請について」京都大学大学院医学研究科(アクセス日2022/8/18)

以下は給付型奨学金の話が中心となります。

給付型奨学金

主に地方公共団体・民間の奨学金で、給付型のものが多くあります。自分で応募するものもありますが、大学を通じて応募するものも多くあります。

<参考リンク>
「大学を通じて申請する他の奨学金(民間団体と地方公共団体)」京都大学(アクセス日2022/8/18)

学費減免と異なり、こちらの奨学金は申請に必要な「最低の」成績基準が示されています。

上記サイトの「~年度申込案内」というPDFファイルに記載されているので、チェックしてみてください。

重要なのが、現課程だけでなく、学部からの下位課程すべてが審査の対象となるということです。

M2で民間奨学金を受ける場合、M1の年度末くらいに申し込むことになりますが、その場合は「学部の成績とM1の前期・後期の成績」が対象になります。

博士課程1年の年度末で申し込むなら、「学部の成績、専門職学位(修士)課程の成績、D1の前期・後期」が対象となるイメージです。

CFプロジェクトという、民間の出資だけど京大独自の奨学金というのもあります。僕は博士課程に備えて応募しようかなと考えていますが、実際にはまだ応募していないので、現時点で詳しい言及は控えます。

CFプロジェクトについては、↑の民間奨学金と応募時期が異なるようなので、ご注意を。

京大SPHで給付型奨学金をゲットするためには?

給付型奨学金はいろいろ種類はあるのですが、全国で数名、数十名しか採用されないものも多く、熾烈な争いということが想像できます。

先ほど「『最低の』成績基準」と書いたのは、こうしたバトルの中でなるべく上位に入るためになるべくいい成績を取っておくべきだからです。

学部時代のものは変えられませんが、M2から給付型奨学金を狙う方は、M1でできる限りAやA+の成績を狙いましょう。

また、京大SPHに入ったらM1で文献レビューで学会発表に挑戦することも推奨します。

京大SPHではM1で発表する人はあまりいませんが、周りがどうとか関係ないです。

先生が発表させない方針…なら仕方ありませんが、トレーニングにもなるので、研究室から許可が下りるなら、おすすめします。

全ての奨学金がそうではないと思いますが、僕が採用通知をいただいた奨学金は、大学院生のみを対象としており、願書に「これまでの研究」を詳しく記載するところがありました。

京大SPHは「1年は授業まみれで学会発表なんて…」と思ってる人が恐らく多いですが、それだと僕のケースのような奨学金を申請するときに研究欄に何も書けなくなります。

システマティックレビューやメタアナリシスは難しいと思いますが、ナラティブレビューのような形ならM1からでも取り組めると思うので、給付型奨学金を狙うなら、先生に相談しつつ挑戦してみてください。

ちなみに僕は先生がM1前期のゼミで「文献レビューで発表するのがおすすめ」と言っていたので、先生の指導を受けながら挑戦しました。

ちょっと残酷なこと

給付型奨学金を受けるためには、成績、研究など、とにかく実績を残しておく必要があります。

これはすごく大事なことで、あなたがどんなに泣いてもがいて徹夜して京大SPH生活を過ごそうとも、形になっていなければ、そのプロセスを知らない人にとってはゼロと同じです。

M1で学会発表をした時、「え!?M1から!?」みたいに驚かれることが多かったですが、逆に僕は「みんな努力はしてるんだから、それを形にして発表したらいいのに」と思ってました。

僕はもともと成果報酬型の仕事をしていることもあり、形にするというところにこだわりが強いのもあるとは思いますが…。

完璧でなくていいので、先生から厳しい指導を受けながら、学会でいろいろフィードバックをもらいながら、ちゃんと「形」にして成長していく方がいいと思います。

形にならなければ、成長のためのフィードバックすらもらえないのが大学院という世界だと僕は感じています。

「いまは自信ないし発表はM2で」と思っている方、M2になっても自信を折られる日々が待っているので、どうせならM1から学会発表に果敢に挑戦するのはいかがでしょうか。

あるいは、レポートの質にもこだわって成績を上げるのもいいと思います。

学生生活のバランスを考えつつ、ぜひチャレンジしてみてください。

ちょっとぼやき

厳しいことを言いましたが、実際には仕事などで忙しく、経済的な問題からうまく時間が確保できない方も多いと思います。

外部からの奨学金という性質上、わかりやすく「形」になっているもので評価されるのは仕方ないとは思いますが、「経済的に大変→勉強や研究がうまくいかない→奨学金対象外」みたいな状況も改善する政策などあればいいのにな…と思っています。

現時点では、医学研究科の学生支援機構第一種の減免申請基準を考えても、実績勝負の厳しい世界というのが事実だと思います。

最後に…給付型奨学金は「プラスアルファ」

京大SPHに必要なお金や減免制度、給付型奨学金について、簡単ですがお話ししました。

最後に、大学経由の給付型奨学金は生活費のあてにするというより、プラスアルファで考えた方が安全です。

というのも、M1の年度末に応募し、僕は大学から「推薦します」の通知が来たのがM2の6月くらいで、実際に給付されるのは9月予定というスケジュールでした。

奨学金によってスケジュールは異なりますが、M2の年度開始のタイミングでもらえることはあまり想定しない方がいいと思います。

M1で応募する給付型奨学金についてはわからないため、研究室でも情報収集してみてくださいね。